金属光沢は物品の高級感を演出するために重要な役割を果たしています。本物の金属を用いる場合、これらの元素は重たく物品全体の重量を増加させてしまいます。メタリック塗装が自動車等の移動手段に用いられた場合、燃費やエネルギー効率に悪影響していることが考えられます。また、物品の廃棄を考慮すれば、金属元素は環境に悪い影響を及ぼす可能性があります。SDGsの観点でも、金属元素を用いない金属様光沢の実現は意義深いものとなります。私たちの研究は、ベニバナ色素の玉虫色の科学的解明からスタートし、この金属様光沢が構造干渉色ではないことを明らかにしました。またこの天然色素の金属様光沢には偏光成分が少ないことから、本物の金属に近い反射特性を持っていることも明らかとしました。現在は、合成有機色素を用いて、より本物に近い金属様光沢を実現するべく研究を行っています。